特別支援学校教員向け校内研修活性化支援講座(校内研究の推進講座【前期】)

  本講座の主な内容
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【センター講義】校内研修活性化の必要性と有効性

《村川雅弘 教授》
【講義1】マネジメントサイクルを生かした
                校内研修の在り方

【演習1】各学校の校内研究年間計画案紹介等

【演習2】校内研究見直し・改善ワークショップ

【演習3】発表(質疑・補足)

【講義2】ワークショップ型研修の他事例紹介

【センター講義(概略)】校内研修の活性化の必要性と有効性

※スライド等はクリックすると拡大してご覧いただけます。

    長崎県公立学校教職員研修体系要綱の一部改訂(H23.12)に伴う校内研修の活性化

「校内研修」の定義

「校内研修」とは、学校が主体となって、教育目標の実現に向け、校長の指導のもと計画的、継続的、組織的に実施する研修。
 
  校内研修のイメージ

研修会と銘打って全員参加の下に実施するフォーマルなものから数人での立ち話での相談に至るまで校内研修は幅広く捉えていただきたい。今後特に注目いただきたいのが⑥~⑧の、小集団としての活動SGA:Small Group Activities)である。
  校内研修に対するアンケート(H24.2実施)

回答のあったすべての学校で、年間を通じたテーマを設定しており、テーマ設定の理由で最も回答が多かったのは「学校の教育目標を達成するため」となっており、校内研修の定義と一致する。
校内研修に対するアンケートの自己評価項目においては、全般に高い評価であるが、「時間の確保」と「適切な評価及び改善」が課題となっている。このことは、今回の研修の事前提出資料に見られる各学校の課題と重なる部分が多い。
研究主任に求められる視点

①実践的なチーム編制~機動的な組織づくりを工夫する~   
②問題の発見と共有~学校の現状と幼児児童生徒の実態を踏まえる~
③課題の明確化と計画立案~PDCAを意識して計画を立案する~
④全教職員の参画意識の醸成~協働して研修の企画・運営に当たる~
⑤人材の効果的な活用~学校の内部及び外部資源を活用する~
⑥実践的な指導力の向上~校外研修・自己研修との関連を図る~
⑦授業研究の充実・改善~授業研究会を活性化する~
⑧成果と課題の共有~改善につながる評価を工夫する~
⑨成果の継承・取組の継続のための組織化~改善の方向を見いだす~

 授業研究会を活性化させ、なおかつ短時間で取り組みやすい方法として「指導案拡大法」や「実行策検討シート」等がある。
  

【講義1】マネジメントサイクルを生かした校内研修の在り方


  学校力と教師力の高い学校

①学校研究の目標・方向性が明確で、全教職員が共通理解している。
②目標達成に向けての具体的なアクションを考え実行に移す際に、個々の教職員が持つ知識や体験、技能を繋げ活かし合う。
③絶えず問題を見つけ出し改善を図っていくPDCAサイクルが内在している。
④教職員一人ひとりが互いの力量を高め合う場がある。
コンピテンシーモデルを活用した研修プログラム

 授業や学級経営が上手い先生には理由がある。観察を続けワークショップでまとめてみた。
 その優れた教師力・指導力を分析し、一般化することで、どの教師の授業づくり、生徒指導にも活かされる。何より次回からの観察眼が育つ。
授業研究の問題

 「異教科の壁」については、中学校や高等学校でよく問題となるが、鳴門教育大では、専門の枠を超えて講義を見せ合い、ワークショップを開いている。いい講義(授業)をするためには多様な意見交換は欠かせない。おかげで教員採用率はトップクラスである。
ワークショップ型授業研究で問題解決

 KJ法に代表されるワークショップだが、短冊方式、概念化シート、マトリクス法、指導案拡大シート、カリマネモデル拡大シート、高志小方式など種類は多い。適宜、組み合わせて効果を上げていただきたい。
付箋の意味付け

 様々なワークショップで利用する附箋。原則は1枚に一つの事項を記入する。筆記用具は黒のサインペンぐらいでしっかりと書く。床に落ちていても読めるくらいの大きさで。附箋の色は、信号の色と合わせて使っている。「青色」はそのまま進め、よかった点。「黄色」は注意、つまり課題。「赤」は立ち止まって考える「手だて」。
短時間でも必ず発表は位置付ける

 「では、続きはそれぞれで情報交換をしておいてください。」これで終わっては、交流は深まらない。
 1分でも2分でもいいので、必ず各グループからの発表の時間を確保して欲しい。聞いたからこそ、詳しく知りたくなるもの。
ワークショップの起源は?

 アメリカ先住民は、火を囲んで集った者たちに、一人ひとり意見を聞いたそうだ。その時に、木ぎれのようなものを回し、それをもった者だけに発言権を与えたという。発表者が固定化し、いつも声が大きいものの意見が中心になる時や時間がない時には有効な手段ではないか。
高志小方式では懐中電灯を回す

 高志小では、懐中電灯を握った者が発言するルール。時間がないときは有効。①~③で15分でできる。
①よかったこと(1分×5人)
②問題点や課題(1分×5人)
③改善点(1分×5人)
 このように、組織みんなのアイデアや知識等から改善策を導きだすことが大切。
空き時間を利用した授業研究はいかが?

 空き時間が同じ者でチームを編制し、たったの3日間で15人の授業研究を可能にした中学校がある。もちろん、教科はそれぞれ違う。時間をかけずに全員に当事者意識が芽生える。全職員が一同に集わなくても学校はしっかりと動きだす。
数ヶ月後別の学校のように変貌を遂げたA中学!

 全職員が当事者意識を持ち、「わかりやすい授業」を合い言葉に、数ヶ月で生徒の姿となって成果が現れた。訪問した時、別の学校かと思った。板書が違う。ICTの効果的活用。生徒の学習形態。どのクラスでも活き活きと授業が展開されるようになっていた。
学びのスタンダードづくり

 それぞれの教科や担任の先生の指導に一貫性がない学校がある。基本的な学習の仕方、各教科の授業の受け方、家庭学習の仕方、効果的な学び方等のスタンダードを示すことを校内研修のゴールに据え、全職員で『まなブック』という形を創りあげた能動的校内研修もある。
  

【演習1】各校の校内研究年間計画案紹介  【演習2】校内研究改善ワークショップ

 
 
 


【演習3】発表(質疑・補足)

 各グループごとに発表(約3分)、そして補足、質疑、講評。


   
A 班   B 班  
   
   
C 班  D 班  

【講義2】ワークショップ型研修の他事例紹介


   ワークショップ型研修で成果を上げているものとして、希望者を募って気楽に実施する「この指とまれ研修」、他への波及効果が期待できる「学習環境整備研修」等がある。
 いずれにしても、いかに教師集団の「思い」「経験」「アイデア」を引き出し、形にし、子どもの姿を通して手応えを感じることができるようにするかが大事。そうすることで、主体的に研修に参加するようになり、サイクルが回りだす。