指導について考えてみましょう

 叱るよりほめる
 できないところに注目するよりも,できることをたくさん見つけましょう。
 できることのレパートリーを広げることにより,成就感や達成感を味わわせます。子どもたちの中には学校で叱られ,家庭でも叱られることで自己肯定感が低下している場合があります。この状態は周囲の配慮で防ぐことができます。
 自分でブレーキを踏む力を育てる
 ADHDのある子どもは,自分自身も悩んでいることも多くあります。「気がついたときにはからだが勝手に動ていた」といったことも多く,自分の動きをコントロールできるように気付かせてあげることが大事です。また,既に行ってしまったことを叱るより,「その時どうすればよかったのか」を一緒に考えることが本人のためになります。
 寛容が肝要です
 結果を考えず、興味関心のあることに,突っ走る傾向があります。
その都度新たな気持ちで指導していく根気強さが大事です。
最初から完璧を求めることは本人にとって大きな負担となります。
 環境を調整する
 ちょっとしたことに気が散りやすく,注意集中することが苦手です。
まずは,学習に気持ちが集中しやすいように教室環境を調整してみましょう。
○ 座席の位置を考える。
○ 作業に関係ないものは片付ける。

○ 注意の妨げになる音や目に入るものを少なくする。

 目標を精選する
○ 目標はできるだけ一つに絞るようにしましょう。
○ 課題を遂行するための手順を分かりやすく示すことが大切です。
○ 一度にたくさんの課題を与えず,少しずつ提示することも有効です。
   例 問題が多いというだけで“やる気”がなくなることがあります。
              
20問 5問 5問 5問 5問
       
    < 課題が20問から5問×4枚へ >
    “終わり”の見通しがたつ。
    先生に4倍ほめてもらえる(^o^)。
 授業の前に十分体を動かす

 集中が必要な課題の前に,十分体を動かすと過剰なエネルギーを発散することができ,落ち着いて取り組むことができたという事例をよく聞きます。クラス全員で取り組める体操やゲームを考えてはどうでしょうか。

 集中する時間を考慮する

 1単位時間フルに学習に集中させることは困難です。まずは今の状態にプラス10分程度集中することを目標に取り組みましょう。できれば授業の最後は,みんなと学習した成就感や達成感を味わわせるようにしましょう。

 授業中にも体を動かす工夫をする
 授業中に体を動かす時間を用意する工夫も効果的です。例えば職員室に「先生のおつかいでプリントを取りに行く」など。体を動かせるうえに先生にもほめてもらえ,そのうえ周囲の子にも認められて・・・まさに一石三鳥です。
 指示の出し方を工夫する
① 具体的に
抽象的な言葉は使わないようにしましょう。
暗黙の了解ということが苦手です。
    例 「(本を)ちゃんと片づけて」
        「本は本棚に片づけます」 
  
② 一つの指示
一度にたくさんの指示は混乱してしまいます。
一度に出す指示は一つにしぼりましょう。
また,指示語をなるべく使わないようにしましょう。
③ 視覚的な工夫
言葉だけでなく,具体物や写真などで分かりやすくすることが大切です。  
④ 注意を引いてから
指示を出すときは目線を合わせたり肩に手を置いたりして,注意を向けさせるようにしましょう。