Web情報一覧へ | ||||||||||||||||||||||||||
長崎県教育センター Web情報 第371号 (平成26年 2月28日) | ||||||||||||||||||||||||||
インターネットに潜む危険と安全対策 |
||||||||||||||||||||||||||
1 はじめに | ||||||||||||||||||||||||||
近年、若者を中心に通信や通話ができるコミュニケーションアプリが急速に普及し、いろいろな人といつでもどこでも簡単につながることができるようになりました。手軽に通話を楽しむことができるインターネットは、非常に利便性が高い反面、危険性も併せ持っています。例えば、女子中学生が、撮影モデルを募るネット上の掲示板で知り合った塾講師に暴行された事例や、懸賞に応募しようとメールアドレスなどを入力した後、個人情報使用の許諾を求められたが、よく読まずOKをクリックした直後、サイトの登録画面が現れ、登録料金3万円の請求メールが届いた事例などがあります。 (平成24年度 文部科学省「ちょっと待って!ケータイ&スマホ」リーフレットより) |
||||||||||||||||||||||||||
このような危険な目に遭うことは、長崎県も例外ではありません。本県の「平成25年度 児童生徒の携帯電話の利用状況に関する調査」によれば、児童生徒の携帯電話所持率は、小学校、中学校、高等学校のすべての学年で増加しています。高校生になると90%以上の生徒が携帯電話を所持しています。そして携帯電話を所持している児童生徒のインターネットやメールの利用率は中学3年生からは90%を超え、LINEの利用については高校生の利用率が80%を超えます。 | ||||||||||||||||||||||||||
また、平成24年度 長崎県児童生徒の社会性・規範意識に関する調査結果では、調査対象の全児童生徒のうち、11.8%が、「メールやインターネットで嫌なことや怖いことにあった経験がある」と回答しており、学年が上がるにつれて多くなっています(図1)。 私たち教職員は、児童生徒のインターネット環境の現状をしっかりと認識するとともに、インターネットの特性を理解して対応していかなければなりません。 |
図1 メールやインターネットで嫌なことや怖いことにあった経験がある | |||||||||||||||||||||||||
2 インターネットの特性 | ||||||||||||||||||||||||||
江戸川大学メディアコミュニケーション学部情報文化学科 玉田和恵 教授は、インターネットの特性として、以下の5点を挙げています。(一部抜粋) | ||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||
3 情報モラル教育 | ||||||||||||||||||||||||||
情報モラル教育を進めるためには、次の視点を持つことが重要です。 | ||||||||||||||||||||||||||
(1)判断力を身に付けさせ、意識付けを繰り返し行っていきます | ||||||||||||||||||||||||||
「情報モラル」とは、「情報社会で適正に活動するための基になる考え方や態度」です。情報モラル教 育には、即座に出遭うかも知れない危険をうまく避ける知恵を与えるとともに、一方では、情報社会の特 性の理解を進め、自分自身で的確に判断する力を育成することが求められます。 |
||||||||||||||||||||||||||
情報モラル教育の指導内容は、以下の2領域5内容とされています。 | ||||||||||||||||||||||||||
これらの内容を、小学校、中学校、高等学校の発達段階に応じて指導していくことが大切です。 詳しくは 平成18年度の文部科学省委託事業において作成された「情報モラル指導モデルカリキュラム」や (http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1296900.htm) 当教育センターで作成した「情報モラル指導教材及びトラブル対応マニュアル(改訂版)」 (http://www.edu-c.pref.nagasaki.jp/moral2/jirei-download.html) を御参照ください。 |
||||||||||||||||||||||||||
(2)事例を挙げながら、児童生徒と問題点を一緒に考えていく場の設定が必要です | ||||||||||||||||||||||||||
情報社会で起きていることを理解した上で、身近な事例を挙げながら、児童生徒と問題点を一緒に考え ていく場の設定が必要です。例えば、SNS(ソーシャルネットワークサービスの略)に書き込みを行っ たことによるトラブルについて考えるときは、できるだけ直接会って話すこと、せめて電話で話すことが トラブル解決への第一歩と言えます。つまり、文字だけの情報では誤解を招くことが多々あるということ です。 |
||||||||||||||||||||||||||
(3)法令の知識や問題への対処に関する知識をもつことが大切です | ||||||||||||||||||||||||||
軽率な行為が、犯罪や違反になることがあることを知らなければなりません。 | ||||||||||||||||||||||||||
例えば、 | ||||||||||||||||||||||||||
○個人が特定できるような写真や映像をウェブページで公開することは、肖像権またはプライバシー 権侵害になることがあります。 |
||||||||||||||||||||||||||
○個人のプライバシーに関する情報をネット掲示板やホームページ、電子メール等で不特定多数の人 に流すと名誉毀損罪または侮辱罪が成立することがあります。 |
||||||||||||||||||||||||||
○子どもたちの中には、安易な気持ちや、悪ふざけの延長で、友達やインターネットで知り合った人 に、自分の裸の画像を送信することがありますが、これは「児童買春、児童ポルノ法」に違反する 場合があります。 |
||||||||||||||||||||||||||
私たちは、児童生徒に、軽率な行動が現在だけでなく将来にわたって影響を及ぼすことを、具体例を示 しながら分かりやすい言葉で伝えることが大切です。特にネット上のいじめについては、文部科学省が作 成した「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集」が参考になります。 |
||||||||||||||||||||||||||
4 保護者への啓発 | ||||||||||||||||||||||||||
学校の対応だけでなく、保護者への啓発も重要です。学校と保護者は、児童生徒のインターネットの利用 の在り方について共通理解し、連携していかなければなりません。次の5点を、学級懇談会や学級・学校通 信などを使って、保護者に啓発していきましょう。 |
||||||||||||||||||||||||||
(1)まずは、携帯電話等が本当に必要か、子どもとよく話し合うことが大切です | ||||||||||||||||||||||||||
購入する前に、まずは、何のために使わせるのか(目的)、それに伴ってどんな危険性が発生するのか (リスク)をよく考えて購入を決めることが大切です。 |
||||||||||||||||||||||||||
(2)親子でのルール作りが基本です | ||||||||||||||||||||||||||
以下の1~5を参考にしながら親子でルールを決めます。それが適正な利用につながります。 | ||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||
(3)ネットに関する保護者の義務が法律で決まっています | ||||||||||||||||||||||||||
「青少年インターネット環境整備法」という法律により、18才未満の子どものための携帯電話やスマ ートフォンを購入する場合には、携帯電話事業者等に未成年者が利用することを申し出た上で、フィルタ リングを利用するよう義務付けられています。 |
||||||||||||||||||||||||||
また、「長崎県少年保護育成条例」でも、フィルタリング機能を外す場合は、保護者がその理由を書い た書面を、携帯電話の販売店に提出しなければならないことなどが、規定されています。 |
||||||||||||||||||||||||||
(4)子どもの実態と保護者の認識との間にはギャップがあります | ||||||||||||||||||||||||||
平成24年度青少年のインターネット利用環境実態調査(2013年1月 内閣府)によると、インタ ーネット上のトラブルや問題行動に関連する行為の経験についての質問で、高校生の回答よりも保護者の 回答が下回る傾向がありました。このことから、保護者は子どもの実態をつかんでいないということが分 かります。保護者は、自分の認識と子どもの実態との間にはギャップがあるということを意識した上で、 子どものインターネット環境を作っていかなければなりません。 |
||||||||||||||||||||||||||
(5)三者連携が大切です | ||||||||||||||||||||||||||
最新情報の取得やトラブルへの対処等については、「5 困った時には」に示すような関係機関とも連 携を図りながら指導していかなければなりません。学校、保護者、関係機関の三者が連携をして、子ども をインターネットに潜む危険から守っていきましょう。 |
||||||||||||||||||||||||||
5 困った時には | ||||||||||||||||||||||||||
児童生徒には、一人で悩まず、まずは保護者や身近な大人に連絡・相談できるように指導することが重要です。対 応に困った時には、公的機関で相談できる窓口も活用していきましょう。 |
||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||
◆参考資料◆ | ||||||||||||||||||||||||||
・「情報モラル指導法学習教材」(江戸川大学メディアコミュニケーション学部情報文化学科 玉田和恵教授) | ||||||||||||||||||||||||||
・「ちょっと待って!ケータイ&スマホ」リーフレット(平成24年度 文部科学省) | ||||||||||||||||||||||||||
・「保護者のためのスマートフォン安心安全ガイド」(安心ネットづくり促進協議会) | ||||||||||||||||||||||||||
・「親子で考えましょう、ケータイの正しい使い方!~大切なあなたを守るために~」 | ||||||||||||||||||||||||||
(長崎県福祉保健部こども政策局こども未来課) | ||||||||||||||||||||||||||
・「平成25年度 児童生徒の携帯電話の利用状況に関する調査」(長崎県) | ||||||||||||||||||||||||||
・「平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」速報(2013年1月 内閣府) | ||||||||||||||||||||||||||
・「情報モラル指導モデルカリキュラム」(文部科学省) | ||||||||||||||||||||||||||
・「情報モラル指導教材及びトラブル対応マニュアル(改訂版)」(長崎県教育センター) | ||||||||||||||||||||||||||