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 長崎県教育センターWeb情報 第370号(平成26年2月14日)

 

「長崎県教育ICT化推進事業」における教育センターの実践

  本年度から長崎県教育委員会では「長崎県教育ICT化推進事業」を3か年計画で行っています。本事業は、Web会議システムによる双方向通信を用いて行う「遠隔授業による教育活動充実事業」と、ICT機器を効果的に活用した分かりやすい授業の実現を目指した「ICT教育推進事業」を展開しています。
 本事業に関わって当教育センターの実践を以下に紹介します。

◆◆◆「遠隔授業における教育活動充実事業」に係る公開授業◆◆◆ 

 平成26年1月10日(金)に、県立対馬高校と教育センターでWeb会議システム(MicrosoftR LyncR)により、「社会と情報」の遠隔授業を行いました。授業では、授業者と生徒のコミュニケーションをはかるための画面と、資料を提示するための画面の2画面を使用しました。また、授業後は同システムを使用して研究協議を行い、双方向での意見交換を行いました。

スタジオと授業者の様子
スタジオ内に教材のモニター(左端)、対馬高校の教室のモニター(中央)、授業者のモニター(右端)を設置

 

授業者側のメイン画面
授業者が見ている教室に設置したカメラ映像

授業者の様子

 

授業者側のメイン画面

教育センター内に設置したスタジオから授業を行いました。

 

授業者からは、このように対馬高校の様子を見ることができます。

対馬高校の様子
教室前方に、授業者と教材を映し出すモニターを設置

 

研究協議の様子
Web会議システムを活用した研究協議

対馬高校の様子

 

研究協議の様子

対馬高校では、教科担当の先生が授業のサポートを行います。生徒たちの作業の状況等を把握し、授業者との連携を図るという役割があります。

 

Web会議システムを使用することで、多人数が双方向に意見交換をすることが可能になります。

 

出席者の感想より

すごく分かりやすくて集中して授業を受ける事ができた。興味深く、理解できた。(生徒)

みんな(対馬高校の生徒)の声が先生によく伝わっていたので良かった。(生徒)

生徒の手元や様子を確認するためにも、教室で支援をする教員の役割は重要である。(教職員)

このシステムは、授業だけでなく生徒会交流などの場面でも使える可能性を感じた。(教職員)

 



 

◆◆◆「ICT教育推進モデル校」でのセンター所員による研究授業◆◆◆

 「ICT教育推進事業」はモデル校に電子黒板やタブレットPC等を整備し、それらのICT機器を効果的に活用した授業の研究・開発を行い、本県のICT教育の推進と子どもたちの学力向上を目指しています。
 当教育センターでは、モデル校の研究推進の支援を目的として、千々石第二小学校と調川小学校で当センター研修員による電子黒板及びタブレットPC等を活用した授業を実施しました。
 本授業でのICT活用の意図は、「教育の情報化に関する手引き(平成22年10月文部科学省)」の「教科指導におけるICT活用」から「授業での教員によるICT活用」、「児童によるICT活用」に基づいて設定しています。

 

 

雲仙市立千々石第二小学校(平成26年1月17日)

第5学年算数科授業

小単元名:

「百分率の問題」

学習活動:

比較量を基準量×割合で求める。

第6学年算数科授業

小単元名:

「組み合わせ方」

学習活動:

組み合わせには、重なりがあることを理解し、図や表を使って
調べる方法を説明する。

複式授業)

 

 千々石第二小学校には児童用のタブレットPCが20台整備されています。また、複式学級のため、1教室に電子黒板と実物投影機がそれぞれ2台あります。
 本時の授業ではタブレットPCを児童1人につき1台(5年生5台、6年生7台)と、各学年のガイド役の児童にそれぞれ1台ずつ使用しました。
 特にタブレットPCを間接指導中に以下のような意図をもって活用しました。

・「分かりやすく表現する」ための活用として、ガイド役児童が、タブレットPCに提示されたガイド進行表を使って、学習活動の指示をする。
・「情報を収集したり選択したりする」ための活用として、つまずきのある児童が、タブレットPCに保存したいくつかの復習教材から必要なものを選んで見直し、自力解決をする。

 また、本時は他にも以下に示すよう意図をもったICTの活用をしています。

 

活用例1の意図
学習に対する児童の興味・関心を高めるための教員による活用

 

活用例2の意図
分かりやすく説明したり、児童の思考や理解を深めたりするための教員による活用

活用例3

 

活用例4

表計算ソフトで作成したフラッシュ型教材で、前時に学習した百分率を小数で表す復習をさせています。(5年生)

 

実物投影機でワークシートを撮影し、並べて拡大提示し、課題に対する考え方を説明しています。(6年生)

活用例3の意図
分かりやすく発表したり表現したりするための児童による活用

 

活用例4の意図
自分の考えを文章にまとめたり、調べたことを表や図にまとめたりするための児童による活用

活用例1

 

活用例2

タブレットPCには「ガイドの進行表」を提示しています。ガイド役児童はこれを見て学習活動の指示を出します。(5年生、6年生)

 

課題となる画像をタブレットPCに送信し、児童の考えを専用ペンを使って書き込ませています。(6年生)

活用例5の意図
情報を収集したり選択したりするための児童による活用

 

活用例6の意図
分かりやすく発表したり、表現したりするための児童による活用

活用例5

 

活用例6

タブレットPCには「百分率の小数での表し方」や「数直線を使った考え方」の復習教材があり、自力解決を支援します。(5年生)

 

電子黒板にワークシートを拡大提示して、児童が自分の考えを説明しています。(6年生)

 

出席者の感想より

タブレットPCの画面を押したら学習のヒントが出てきて分かりやすかった。百分率で表された割合を小数で表す教材も楽しく学習ができた。(5年生児童)

タブレットPCを使うと、自分の考えをそのまま電子黒板で見せたり、みんなの考えが一斉に見られたりするのがいい。大きくすると友達の考えを比べることができるし、字の大きさを変えることができるので、発表するときも見やすかった。(6年生児童)

ICTの活用は学力向上においてとても有効であると感じた。教師と児童の双方向の利用が進められるよう、今後授業を組み立てていきたい。(教職員)

複式学級において、タブレットPCを活用したガイド学習の有効性を感じた。子どもたちは待ちの時間がほとんどなく、時間を効率的に使えていた。また、難しい課題でもイメージしやすかったと思う。(教職員)

 

 

松浦市立調川小学校(平成26年1月20日)

第6学年社会科授業

単 元 名:

「憲法とわたしたちのくらし」

学習活動:

日本国憲法に示された基本的人権の考え方と国民の義務について考え、適切
に表現する。

 

 調川小学校は1学級に電子黒板と実物投影機がそれぞれ1台ずつあります。本時の授業では電子黒板にプレゼンテーションソフトで作成した自作教材を提示したり、実物投影機を使って、児童のワークシートを拡大投影したりすることで、主に以下のような意図をもってICTを活用した授業を仕組みました。

・児童が「分かりやすく発表したり、表現したりする」ための活用として、ワークシートを実物投影機を使って拡大投影し、画面を指し示しながら説明する。
・教師が「分かりやすく説明したり、児童の思考や理解を深めたりする」ために、アニメーションを効果的に取り入れたプレゼンテーションソフトを作成して説明する。

 

活用例1の意図
学習に対する児童の興味・関心を高めるための教員による活用

 

活用例2の意図
児童一人一人に課題を明確につかませるための教員による活用

活用例1

 

活用例2

導入においてインターネット上の国連で演説する少女のニュース動画を視聴させています。

 

プレゼンテーションソフトで作成した教材を使って、小学校に通っていない世界の子どもの数を視覚的に捉えさせます。

活用例3の意図
分かりやすく説明したり、児童の思考や理解を深めたりするための教員による活用

 

活用例4の意図
分かりやすく発表したり、表現したりするための児童による活用

活用例4

 

活用例3

アニメーションを効果的に取り入れた自作教材で、「義務と権利」を分かりやすく説明します。

 

ワークシートを拡大投影して「基本的人権がなかったら」をテーマに各班の考えを発表しています。

 

出席者の感想より

電子黒板を使った方が、言葉だけの説明や普段の黒板だけを使った説明よりも頭に入って分かりやすかった。(児童)

電子黒板で、税金の流れをアニメーションを使って説明したのでとても分かりやすかった。(児童)

アニメーションによって国民の義務をしっかり子どもたちにつかませることができたのではないかと思う。(教職員)

電子黒板を活用することで、関心を高めたり、発表を分かりやすくしたりすることはとても有効だと思う。(教職員)